NPO法人埼玉成年後見支援センター所沢支部

遺言について

2019年1月13日に民法が改正され、自筆証遺言の様式が随分緩和され、自書する部分が大幅に減りましたが、まだその事実をご存じない方も多いようです。

また、「相続財産なんて大してないし、兄弟皆仲良しだから遺言なんて必要ありません。」という言葉を相変わらずよく耳にします。

本当に遺言書がなくて大丈夫なんでしょうか?

相続が発生してから、『遺言書があれば、こんなに揉めることはなかったのに』とか、『遺言書があれば、もっと手続きが簡単に素早くできたのに。なんで遺言書を書くようにもっと強く進めなかったのか』と、後悔される相続人が多いのも事実です。

兄弟が不仲になったり、相続人の意見の調整がうまくいかなくて、相続問題でへとへとにならないためには、どうしたらいいのでしょうか?

遺言とは何か?

  1. 遺言とは、被相続人自身による自らの財産の使い方についての最終的な意思表示
  2. 15歳に達したものは、単独で遺言をすることが可能
  3. 被成年後見人でも、事理を弁識する能力を一時的に回復したときは、2人以上の医師の立ち合いのもと、単独で有効な遺言をすることができるとされています
  4. 被保佐人、被補助人は、保佐人、補助人の同意を得なくても遺言をすることが可能
  5. 遺言は、民法が定める方法に従わなければすることができませんし、遺言事項は、法律に定められていることに限定されます。

こんな人は、是非遺言書を作成してください!

子供がいない夫婦や独身の人

遺言書がないと、法定相続が適用されますので、両親がすでに死亡し、配偶者と兄弟だけが残っている場合、配偶者は3/4、兄弟は1/4 の財産を相続します。独身の人の場合は、親がいない場合、兄弟が全財産を均等に相続します。

既に、兄弟の中で被相続人より先に死亡しているものがいれば、その子供が代襲相続しますので、遺産分割の対象者が更に増えることになり、遺産分割の意見調整が更に難しく、時間を要することになります。

配偶者に全て相続させる旨を遺言書に記載していれば、兄弟には遺留分は発生しませんし、遺言書をもとに、不動産、預貯金等の名義変更もスムーズに行えます。

相続人以外の人に財産を残したい人

相続財産の一部を相続人ではない孫に直接贈与したい場合には、生前に贈与する方法がありますが、できなかった場合は、全ての財産は相続人によって分割されます。

孫に遺贈する旨を遺言書に記載して実現することができます。但し、相続人の遺留分を侵害しないように気をつける必要があります。

内縁の妻(夫)に財産を残したい人

内縁の妻は、戸籍上は他人のままですので、法律上の相続人には該当しません。従って、遺言書がない場合、財産を内縁の妻(夫)に残すことは非常に難しくなります。

2019年7月1日施行された新しい相続に関する法律では、内縁の妻(夫)が特別寄与分を相続人に対して請求することが考えられますが、寄与分がどこまで認めてもらえるか分かりません。

遺言書に内縁の妻(夫)に遺贈する旨を記載し、付言事項に内縁の妻(夫)に対する深い感謝の気持ちを表現することで、相続人の理解が得られる可能性が高まります。ここでも、やはり、相続人の遺留分を侵害した場合には、紛争に発展するかもしれませんので、注意が必要です。

遺言書があるのとないのでは大違い

  1. 遺言書がないと、相続人間で遺産の分割の件で揉めることがあり、争続に発展する可能性があります。また、相続人間の仲が悪くなる可能性もあります。
  2. 遺産分割では、相続人全員の同意が必要であり、全員の記名押印がなければ、不動産や預貯金の名義変更はできませんので、相続人の数が多ければ多いほど、時間と労力がかかることになります。従って、残された人のことを考えるのであれば、遺言書は必須です。
  3. 一人暮らしの人が亡くなると、遺産の全容を明らかにすることが困難になるので、残された相続人の手間が大変になります。
  4. 相続人に認知症の人がいれば、遺産分割には当該相続人の後見人の参加が必要になりますが、遺言書があれば、そもそも遺産分割がないので、こういう問題は発生しません。
  5. 遺言書があれば、兄弟姉妹には遺留分は発生しないので、被相続人の思い通りに財産を処分することができます。

遺言の方法

遺言の方法には、主に公正証書遺言と自筆証書遺言があります。

公正証書遺言

立会人2名のもと、本人(または代理人)が作成した遺言書を公証人が認証するものです。公証役場にて原本が保管され、遺言者及び遺言執行者は、正本、副本を取得。遺言者が死亡した場合、遺言執行者が、公正証書遺言を基に遺言を執行します。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者自身が自書することにより実現するもので、作成した遺言書は2019年1月13日の民法改正により、以下の通り自筆証書遺言の方式が大幅に緩和されました。

①自筆でない財産目録の添付が可能になりました
  1. 従前は、全て自筆で記載する必要があり、コピーは一切認められませんでしたが、2019年1月13日より、ワープロで作成した財産目録の添付が認められました。
  2. 不動産の登記簿謄本の添付が、相続財産目録として認められました
  3. 預貯金の通帳のコピーが、相続財産目録として認められました
②添付した財産目録が、遺言者が指定した目録に間違いないことを認めてもらうには

財産目録ごとに「財産目録1」などの名称の記載、遺言者の署名、押印が必要。何故なら、自筆の署名、押印がなければ、後日差し替えることが可能となるからです。財産目録が両面に記載されている場合には、各ページに署名、押印が必要です。

遺言に関するご相談・ご質問は、こちら>>